がんゲノム医療部門長挨拶
臨床遺伝・ゲノム医療センターがんゲノム医療部門長の山本寛斉と申します。
がんゲノム医療部門では、病状が進行し、標準治療が終了または終了見込みのがんや、希少がんの患者様の腫瘍および正常組織のゲノム情報から、機能的な、つまりがんの発症や進展に関与する遺伝子異常を同定し、その異常に特異的に作用する薬剤の提供に繋げる医療を行っています。
認知症や糖尿病などの多因子疾患のゲノム医療はまだ発展途上ですが、がん患者様のゲノム情報を調べる「がん遺伝子パネル検査」は現在複数が保険適用となっており、がんゲノム医療は急速に広がっております。この検査を受けることにより、これまでは個々のがんで標準治療に沿って治療していたものが、がん細胞に起こっている遺伝子異常ごとに、より効果のある治療が提供できる可能性があります。
しかし、実際に治療につながる患者様は全国的にもまだ1~2割と言われており、今後更なる発展が求められています。がんゲノム医療中核拠点病院と連携し治療を行う「がんゲノム医療連携病院」として、主治医をはじめ病理医・臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラー・看護師・薬剤師・臨床検査技師など、多職種が綿密に連携し、一人ひとりの患者様に適したがんゲノム医療を提供できるように努めて参ります。